皆さんご存知のように、ピクタムの採集地全体が北上しつつあります。
どれだけパダン〜シボルガの山々が多産地とはいえ、
あのペースで採集されていれば、、というのが主な理由でしょう。
ここ数ヶ月、色々と思うところがあり、
久しぶりにまとまった文章を書いてみます。
少しだけお付き合いください。
僕自身は2012年の7月に初めてアチェの地を踏みました。
当時はまだニアス産とパダン産が市場の大半を占めており、
KNからシボルガ産がリリースされ始めた頃だったかと思います。
スマトラ本島におけるピクタムの個体差が注目されつつありました。
当時駆け出しだった僕は、同年2月のシベル島を含め、
新たなタイプを見つけようと奮闘していたわけです。
そんななか、危険と言われていた地域、アチェで出会ったのが、
あのアルゲンタムタイプのピクタムでした。
初リリースの時は「これほんとに同種なの?」とか、
「やっぱり派手なトリカラーじゃないと…」とか言われたりしながら、
この銀はやばくね?と一部で盛り上がっていたわけです。
それが、徐々にアチェという三文字が希少価値のように扱われはじめ、
とにかくアチェと付いていれば…というような流れにさえなってきました。
(この背景にはオークションでの高額落札などがあるわけです。そもそもあの一連の、“高額になるから価値がある”といった煽り方は本当に問題だと思います。“価値があるから高額になる”のが、本来あるべき形ですよね。)
話を戻すと、
・アチェ産であれば、LA便のアルゲンタムタイプである。
これは大きな間違いです。
今のところ、見ていて「ウチのに近いなぁ」と感じるのは、
TBさんとこのD産地、特にDBと呼ばれているもの、
Rioさんのブラスタギ産ぐらいで、
(これも勝手に似ていると言ってしまうのは失礼ではありますが)
その他の採集者がアチェ産だと言っているものは、
僕にはシボルガタイプにしか見えません。
が、別に彼らが嘘を言っていると言いいたいわけではありません。
それらは確かにアチェで採れたものなのでしょう。
赤の地点がシボルガ、中央の点線がアチェボーダー
はっきり言ってしまえば、こんな地続きの山脈で、人間が引いた線を越えた途端にピクタムのタイプが変わるわけないんですよね。
メダン側にアチェタイプがあれば、
アチェ側にシボルガタイプもあるでしょう。
そんなことは採集者やショップ側が一番良く分かってるはずなのですが、
アチェという三文字で煽って売りたいだけの人達がそんなアナウンスをするわけもなく、それに踊らされているユーザーが多数。というのが現状です。
言わせてもらうなら、
「一目瞭然なのになんで分からないの?」て感じなのですが。
パダン産は黄色っぽい白、シボルガ産は緑っぽい白、アチェ産は銀っぽい白
もちろん例外も多々ありますが、これぐらいは少し観察すれば分かります。
しかしこういった特徴も、写真の撮り方ひとつで変わってしまいます。
僕が日頃から、わざと濡らして撮影するのはどうよ?
と言っているのはこういうことです。
特に販売の場では、プロアマを問わず、
出来るだけ現物に忠実な色で撮影して欲しいものです。
そして一番大切なのは、どの産地にもそれぞれの魅力がある。
ということです。(シボルガ産の細かい散りやエッジのギザギザ、反転個体なんか、個人的には大好きです)それぞれの特徴をよく理解し、
見極める目を持った方が、間違いなくピクタムを楽しめます。
LA便アチェ産の産地はかなり限定的で、
狭い範囲内にしかありません。
細かったり白かったり…
といった形質がそこだけのものなのかどうかは正直微妙です。
他でも採れない事はないでしょう。
しかし、ウチはウチで、数が採れない産地なりに、
採り尽くさないようコントロールしながら採集してきたわけです。
採り過ぎで自分の主産地を潰してしまうような採集者には、
当然ながら踏み入って欲しくはありません。
今回の草ワルンでも、
「LA便のあの独特な産地は守られて欲しいよね」
という嬉しいお声を掛けていただきました。
けれども、乱獲業者が考えを改めず、
それを皆さんが買い支えている限り、当然いつかは潰されるでしょう。
ひとつの産地にあれだけ生えているブセファランドラでさえ人間の採集圧には勝てないのですから、ピクタムなんて言わずもがなです。
かといって、「じゃあ買わないで済むようにたくさん供給してくれ」という要望にもお答え出来ないのです。
植物をマス的に扱うことの矛盾がここにあります。
僕に出来るのはせいぜいちょこちょこと増やすぐらいのものです。
結局のところ、一番力を持っているのはひとりひとりのユーザーなんです。